2018年10月04日

炊き出し鍋開発のきっかけ(3) 〜かまどつきの炊き出し鍋へ〜


設計は最初からやり直しになりました。
この防災鍋の容量ではカマドは相当頑丈なものにしなければならず、カマド自体が重くなって扱いづらい物になるだろうと思ったのです。

それからカマドを作るにあたってはクリアしたい二つの事がありました。

一つは鍋とカマドをセットにして置いておける様にするという事で、これは鍋とカマドが別々な場所に保管されていて非常時に役に立たなかったという様な事を防ぐためで、笑い話みたいですけど現実にはそのような事が起こるかもしれないと思ったのです。

そしてもう一つはスペースの問題です。
普段から頻繁に使う物ならともかく、非常時はもちろん、お祭りや各種の催しに使うにしても年に数回しか使わない大鍋を収納しておくのはなかなかスペース的に難しいのが町会、自治会の現状だと思います、出来るだけわずかなスペースで。

開発にまた半年掛かりました。
そして出来上がったのが炊き出し1号でした。

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2018年09月25日

炊き出し鍋開発のきっかけ(2) 〜防災鍋の開発・製作〜


いざ炊き出し用の鍋を製作しようと思って考えてみると、色々な事を考慮しなければならない事が分かりました。

大体どれぐらいの規模の鍋を作るのか、材料の歩留まりはどうか、強度や重さは、大量の料理は実際に可能なのか、等々、一つを変えるとその影響が全部に及ぶ事ばかりでなかなかまとまりません。

元々お得意様から設計図を頂いてその加工だけを行うという、ほとんどの他の町工場と同じ経営スタイルでやってきた弊社です。
加工技術はあっても設計するという事に関しては全く経験が無く、文字通り手探りの状態から始めました。
学問がないので経験と感覚で設計していきました。

大事にしたのは次の二つです。
(1)自分は何を成そうとしているのか。
(2)自分がそれを使うとしたらどう作るか。

幾つか試作してこれなら良いだろうという鍋が出来たのは震災から半年以上経った頃でした。

この頃製作した鍋はかなり大きい物で今の炊き出し鍋の2倍近い容量がありました。
防災鍋という名前にして販売しましたけど、カマドは無くてただの大きな鍋のみというものでしたから今から考えると扱いづらい物だったと思います。

とは云うもののやっと出来上がった鍋です、嬉しくて宣伝に駆け巡りました。
製品の売り先は町会や自治会と思っていましたから、多方面から色々紹介してもらって3台納品させていただきました。
その3台目の鍋を自治会の会長さん宅に納品に行った時に言われたのです。

「これ、鍋は良いけどカマドはどうするの?」
「はい、カマドは鍋の下にブロックを立てて使ってください。」
「でもさ、そんな非常時にブロックなんか手に入らないじゃない。」
「用意しておいてもらうとか出来ませんか?」
「…あのさ、せっかくこういう鍋作ったんだからカマドを考えてよ!」
「カマドですか… はい、じゃちょっと考えてみます。」

この時の会話が炊き出し鍋を作るキッカケになったのです。


つづく
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2018年09月18日

炊き出し鍋開発のきっかけ(1) 〜阪神淡路大震災〜

防災用炊き出し鍋【炊き出し1号】はどのようにして世に出たのか、
社長に開発当時のことを聞いてみました!

*     *     *     *     *

炊き出し鍋を製作するキッカケとなったのは、あの阪神淡路大震災でした。

阪神高速道路が崩れ落ちていたり、街全体が火の海になっていたりと、テレビに映し出される映像はまるでSF映画でも観ている様な感覚を覚えたほどでしたが現実です。
関西地方にいる友人に連絡が取れて取り敢えず水を送ったり、義援金募集サイトから募金したりしましたけど、被災者の為に役に立っているという実感も湧かないまま日にちが過ぎていきました。


そんなある日の夜、いつもの様にテレビに映る被災地の様子を見ていると、ドラム缶を半分に切ったものに下から火を焚いている様子が一瞬映ったんです。
「エッ あんなドラム缶で!?」と思いました。

たぶんレトルト食品か何かを温める為のお湯を沸かしていたんだと思いますけど、これが大鍋だったらそのまま大人数の食事が作れるかもしれないし、もしこれがステンレスの鍋なら長期保存も可能でメンテナンスも要らない、耐久性も抜群で長期間の使用にも心配がない。

「そうか!俺にも出来る事があるんだ!ステンレスで防災用の大鍋を作れば良いんだ!」

炊き出し鍋が世に出る一番最初の出来事でした。


(つづく)
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